ギャラリー茶房 『エスカルゴ』
Gallery−Escargot!  ご案内と留守番役は、ごくふつうのおばさま「くるみ」さん。 お客様同士の会話をお楽しみ頂けますよう、喫茶コーナーも開いています。
引越しのその前に、、、 
【2008/03/04 Tue 23:53】
     デザート

 引越しへの準備を進める中、どうしても持っていけないものが出来てしまいました。
 それは今まで部屋の中を彩っていた観葉植物たち。 残念ですがどうしてもいっしょに引っ越す事が出来ません。 私を和ませた植物たちを処分するのはどうしても忍びなく、どなたか好きな方に貰っていただけたらなあと思い、引き取り先を探す毎日でした。運良く引き取り先が決まり、これらはケーキ屋さん・不動産屋さん・酒屋さんの店先を飾る事になります。

 植物の輿入れが決まり一安心していた矢先、昔のお客様より電話が入りました。
 「これからは、なかなか会えないから」と、思いかげなくお食事のお誘いを受けたのです。 病気の副作用で弱視となったご主人と、書道師範の奥様。 お二人とも、明るく話し好きな七十代です。 今日はそのご夫婦と三人での会食です。  私たちは、カロリーコントロールを必要とするご主人自ら選ばれたイタリアンレストランに、奥様の運転で向かいました。
 「二人とも洋食が好きなんです。イタリアンでいいですか?」
と、奥様はハンドルを握りながら話します。 「はい」と答えたものの私は、ご主人の病状が気になって仕方ありませんでした。 その気持ちが伝わったのか、「カロリーコントロールは本人がしますから大丈夫よ」と、奥様は言葉を加えました。 その言葉に助手席のご主人も頷いています。

 高台にあるこの店は窓からの景色がおすすめらしく、私たちは海の見える窓際の席に案内されました。
 小雨にけむり水墨画のような景色を見ながら、色鮮やかなイタリアン料理をいただく。 このアンバランスさも面白い。 この水墨画的景色は、次々出てくる色鮮やかな芸術的盛り付けの料理を一層引き立たせているようにも思えます。 私たちの目をも楽しませました。 その間奥様は、ご主人に料理を一品ずつ説明していました。 「僕は魚介類が好きなんだ」と、大きな皿に盛り付けられたカルパッチョを口にして言います。 ご主人は慣れた手つきでフォークを使い、次々と食事をすすめます。 その姿はスマートで、全く見えない方とは思えませんでした。
 私たちはそれぞれの料理を品定めしながら、ゆったりと食事を楽しむ事が出来ました。 時折ご主人を手助けしながら、頷いていらっしゃった奥様はにこやかにいいます。

「デザートは二人で頂きましょうね。 主人、これ以上はカロリーオーバーなの」

 ご主人の分もデザートを楽しんだランチタイムは約二時間。 とてもゆったりと食事を楽しむ事ができました。 自分流に楽しむ術を知っているお二人の姿は、とても若々しく映りました。
 大切な思い出がもうひとつ増えた一日でした。
 
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